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社葬の知識 : 社葬・お別れの会・合同葬 費用について

社葬・お別れの会にかかる費用とは?

- 社葬やお別れの会にはどのような費用がかかり、どのような経理処理になるのでしょうか。 -

社葬・お別れの会にかかる費用とは?

社葬、お別れの会、合同葬は、会社に貢献した故人の功績を称え社として追悼する場です。通常の葬儀と異なり、葬儀や告別式は会社が運営の主体となるため、葬儀にかかる費用は原則会社が負担します。ただし、一般的な個人の葬儀と社葬とを併せて行う合同葬の場合は、費用は遺族と会社で按分します。
この記事では、社葬の費用項目や適切な税務上の処理についてご紹介します。


社葬にかかる費用

社葬の場合は多くの参列者が見込まれます。仮に500人程度の規模とした場合、お布施なども考慮すると一般的には400~1,000万円ほどの費用を想定しておく必要があります。ただし、会場や式次第等の条件により大きく異なりますので、詳しくは葬儀社に相談するとよいでしょう。


一般的な社葬の費用項目内訳

  • 会場利用費・装飾費
  • 運営企画費
  • 演出・設備費
  • 新聞などの死亡広告費
  • 食事費用
  • 案内状などの印刷費用
  • 車両費用
など

社葬の費用は「損金処理」が可能

社葬費用は原則的に税務上、「福利厚生費」として損金処理できます。しかし、「社会通念上妥当」と判断される範囲に限られます。この点については、法人税法基本通達において以下のように規定されています。


法人税基本通達 9-7-19

『法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。(法基通9-7-19)』


基本通達にある「社会通念上相当」の判断ですが、まずは「社葬をなぜ行うのか?」という点に立ち戻って考えるとよいでしょう。社葬は、故人を供養する儀式であるとともに、会社にとっては今後の事業活動における広報活動の側面も有しており、「事業承継」の観点からみても重要です。会社にとって必要な儀式であるため、会社の費用性が認められています。


経費として認められるもの

バス・ハイヤー料金

バス・ハイヤー料金

式場使用料

式場使用料

葬儀基本料金(祭壇費用)

葬儀基本料金(祭壇費用)

葬儀基本料金

葬儀の前後に生じた出費
(新聞広告・会葬礼状の費用など)

葬儀基本料金

社葬通知状(案内状)
郵送費

葬儀基本料金

社葬通知状(案内状)
作成費

お布施

お布施

写真・ビデオ撮影料

写真・ビデオ撮影料

お手伝いの人の食事代

お手伝いの人の食事代

その他の費用

その他の費用
(葬儀の警備員などの日当ほか)


「経費」として認められないもの

一方、お墓や仏壇、戒名など、相続人などの親族に依る部分は会社の負担とすることはできません。「通常要すると認められる部分の金額」については「どの社葬においてもかかるであろう内容や金額」と考えて判断します。例えば、祭壇も「その方の立場に見合うもの」という観点で決めたのであれば、通常認められます。ただし、ホテルでのお別れの会のように儀礼を伴わず会食が中心であれば、「接待交際費」と判断され、損金処理できない場合もあります。


認められないもの

遺族の香典返し

遺族の香典返し

死亡診断書

死亡診断書
戸籍除籍手続き費用

ご法事費用

ご法事費用

仏 壇

仏 壇

戒名

戒名料

墓地・墓石の購入費用

墓地・墓石の購入費用


香典はどう処理するべきか

社葬の場合、香典はご遺族にお渡しするケースもよく見受けられます。費用負担という点では、会社が受け取るべきとも言えますが、これには理由があります。
香典を会社が受け取る場合は「雑収入」としての処理となるので、課税対象となります。一方で、香典返しの費用も損金計上ができませんので、場合によっては損になることさえあります。
ご遺族に香典をお渡ししたうえで、会社が香典返しを行うと、ご遺族が受け取ったお香典に贈与税がかかります。
総合的に考えると、香典には会社は関与せず香典の受け取りも香典返しもご遺族から行っていただくほうがスムーズといえます。また、最初から「香典辞退」としておく方法もあります。それでも香典を持参した方がいらしたら、香典はご遺族に対する弔慰の意味で手渡されるものですので、ご遺族にお渡しする方が良いでしょう。


お布施の領収証がもらえない場合

僧侶へのお布施は損金処理が可能です。一方でお布施は宗教事業のため課税がなく、領収書発行の義務がないため、領収証をもらいにくいケースもあります。その場合は「領収証」という名目でなくても、いくらかかっているのかを判断できる書類をできるだけ書いてもらうようにしましょう。注意すべき点として戒名料は損金処理できませんので、分けて書いてもらう必要があります。どうしても難しい場合は、お寺と住職の名前、所在地、支払日、支払額を記録しておきます。


事前の取締役会の開催

社葬が経費として認められるためには、事前に社葬を行うことを取締役会で決議し、そのときの議事録が必要となります。できれば平時から社葬取扱規定を設けておくことで、取締役会ではそれを認証する形をとることが可能となります。


社葬と認められる範囲

社葬は「社会通念上相当である」ことが損金処理として認められる範囲となります。会社への貢献がない社長や会長の親族に対しては損金処理ができません。また、故人の功績に対して社葬予算が過大であると税務署が判断した場合、必要分以上は故人への退職金等とみなされて課税対象になる恐れがあります。

こうした社葬費用の税務処理をスムーズにするためには、客観的な書類を残すことが重要になります。準備にかかった費用は、すべて領収書をとっておき、内訳を控えておきましょう。領収書を入手しにくいものも、明細を控えておきます。その他、会葬者リストなど、税務面からの視点で記録を残し、後日確認を求められた時に説明できるようにしておきましょう。


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